無理なく読書習慣を:年齢を重ねた読者のための、心地よい本の見つけ方・選び方
年齢を重ねてから、改めて読書を生活に取り入れたいと考える方は少なくありません。しかし、「何を読めば良いのか分からない」「昔に比べて目が疲れやすくなった」といった理由で、なかなか一歩を踏み出せずにいることもあるでしょう。
このページでは、「読書を続けたいけれど続かない」と感じている方、特に年齢を重ねた読者の方々が、無理なく、そして心地よく読書習慣を身につけるための本の見つけ方や選び方について、具体的なヒントを提供いたします。大切なのは、量をこなすことではなく、自分にとって「心地よい」と感じられる一冊と出会い、読書そのものを楽しむことです。
なぜ「心地よい本」との出会いが大切なのでしょうか
読書習慣を築く上で、最も重要なのは「読書が楽しい」と感じることです。義務感で本を読むのではなく、心から面白いと感じる本、読み進めるのが苦にならない本を選ぶことが、習慣化への第一歩となります。
年齢を重ねると、集中力の持続時間や目の機能に変化を感じることがあります。そうした変化に合わせた本選びをすることで、読書へのハードルを下げ、無理なく長く読書を続けることができるようになるでしょう。
自分に合った本の見つけ方:ヒント集
自分にとっての「心地よい本」を見つけるためには、いくつかの方法があります。
1. 自分の興味・関心に素直になる
まず、ご自身の興味や関心がどこにあるのかを考えてみましょう。過去に熱中した趣味や仕事、現在関心があるニュースや話題、あるいは若い頃に好きだったジャンルなど、思い当たることはありませんか。
- 過去の経験を振り返る: 学生時代に好きだった歴史上の人物や出来事、仕事で培った専門知識に関連する分野など、思い出の中からヒントを探してみましょう。
- 現在の関心事を掘り下げる: 健康、旅行、園芸、料理、地域活動など、日々の生活の中で「もっと知りたい」と感じるテーマがあれば、その分野の本から探してみるのも良い方法です。
- 完全に新しい分野に挑戦する: これまで全く触れてこなかったジャンルに、軽い気持ちで足を踏み入れてみるのも新たな発見に繋がることがあります。
2. 書籍ジャンルにとらわれない視点
「読書」というと、小説や専門書を思い浮かべがちですが、本には実に多様な形があります。
- エッセイや随筆: 著名人や作家の個人的な視点から綴られるエッセイは、物語を読むよりも気軽に、短い時間で読み進めることができます。共感や新たな気づきを得やすいジャンルです。
- 実用書や教養書: 趣味の深掘りや日々の生活に役立つ情報、教養を深めるための入門書なども良いでしょう。特定のテーマについて、自分のペースで知識を深めることができます。
- 写真集や画集: 文字を読むことに疲れた時でも、美しい写真や絵を眺めることで、感性を刺激し、心を豊かにする時間を持つことができます。これらも立派な「本との関わり方」です。
- 詩集や短歌集: 短い言葉の中に深い世界が込められた詩や短歌は、少しの合間に読み、じっくりと味わうことができます。
3. 短い本から始めてみる
いきなり長編小説や分厚い専門書に挑戦する必要はありません。読書への抵抗感を減らすために、ページ数の少ない本や、短編集、掌編小説から始めてみることをおすすめします。短い物語や文章は、達成感を得やすく、次の読書への意欲へと繋がるでしょう。
4. 図書館や書店を「散歩」する
インターネットでの情報収集も便利ですが、実際に図書館や書店に足を運び、本との偶然の出会いを楽しむことも大切です。
- 図書館の活用: 費用を気にせず、様々な本を手に取って選ぶことができます。新刊コーナーや特集棚、司書さんのおすすめなども参考にしてみてください。
- 書店の魅力: 専門の書店員が選んだPOP(手書きの紹介文)や、特定のテーマに絞った棚作りなどから、思わぬ名作に出会えることがあります。試し読みコーナーで数ページ読んでみるのも良いでしょう。
5. 信頼できる情報を参考にする
友人や知人の勧め、新聞の書評欄、信頼できる書評サイト、テレビの読書紹介番組なども、選書のヒントになります。特に、ご自身と似たような興味を持つ方の推薦は、共感しやすい本に出会える可能性が高いです。
選び方のヒントと読書環境の工夫
本を見つけるだけでなく、実際に選ぶ際や、読む環境を整える上でのヒントもご紹介します。
1. 試し読みのすすめ
書店では、気になる本の冒頭数ページを実際に読んでみましょう。文章の雰囲気、構成、使われている言葉が、自分にとって読みやすいかどうかを確認する大切な時間です。図書館でも、貸し出す前に少し読んでみることをおすすめします。
2. 装丁や装画も大切な要素
本の表紙(装丁)やイラスト(装画)も、本を選ぶ上で重要な要素です。直感的に「良いな」と感じるデザインの本は、内容が自分に合っている可能性も少なくありません。視覚的な心地よさも、読書を楽しむ上で無視できない要素です。
3. 目の負担を減らす本の選び方
年齢を重ねると、目の疲れを感じやすくなることがあります。無理なく読書を続けるために、以下のような本を選ぶ工夫をしてみてください。
- 大きな文字の本: 出版社によっては「大活字本」と呼ばれる、文字が大きく読みやすい本を刊行しています。図書館にも多く所蔵されていますので、探してみることをおすすめします。
- 行間が広く、余白が多い本: 文字が密集している本よりも、ゆったりとしたレイアウトの本の方が、目への負担が少ない傾向にあります。
- 紙質や色合い: 光沢が少なく、目の反射を抑えるような、少しクリーム色がかった紙質の本は、目に優しいと言われています。
4. 読書環境の整備
快適な読書のためには、環境を整えることも大切です。
- 照明: 明るすぎず、暗すぎない、直接目に光が入らない間接照明や、手元を適切に照らす読書灯を用意しましょう。
- 姿勢: リラックスできる椅子やソファに座り、無理のない姿勢で読書を楽しみましょう。
- 休憩: 長時間読み続けるのではなく、適度な休憩を挟むことが重要です。目を閉じたり、遠くを見たりして、目の疲れを和らげましょう。
- オーディオブックの活用: 目の疲れが気になる場合は、耳で本を楽しむ「オーディオブック」も大変有効な選択肢です。別記事で詳しくご紹介しておりますので、ぜひそちらもご参照ください。
まとめ:自分らしい読書をゆっくりと
読書は、私たちの人生に彩りを与え、新たな世界や知識との出会いを届けてくれます。年齢を重ねてから読書習慣を身につけることは、決して難しいことではありません。
大切なのは、「こうあるべき」という固定観念にとらわれず、ご自身のペースで、心から楽しめる一冊を見つけることです。焦らず、好奇心を持って、たくさんの本の中から「自分だけの心地よい一冊」を探してみてください。その一冊との出会いが、きっと豊かな読書生活へと繋がっていくはずです。